「天中殺、大丈夫でしょうか」
セッションで、こう聞かれることがあります。来年から天中殺なんですが何をしてはいけないですか。この時期に引っ越しを考えているんですが、やめたほうがいいですか。
不安そうな表情で、何か悪いことが起きると決めてしまって、身構えているように見えます。
先に書いておくと、怖いと感じること自体は自然な反応だと思っています。ただ、その怖さがどこから来ているのかを分けて考えると、天中殺の時期の使い方が変わります。この記事では、その分け方について書きます。
「気にしすぎなくていい」と答えています
まず、私がどう答えているかを書きます。
気にしすぎなくていい、と伝えています。天中殺は、悪いことが起きる時期ではありません。
ただし、気にしなくていいという話ではありません。ここは似ているようで、まったく別のことです。後半で分けて書きます。
そのうえで、聞かれたときには逆に確認することがあります。天中殺というのが、どういう仕組みで決まるかご存知ですか、と。
答えられる方は、ほとんどいません。
言葉だけが、先に届いています
天中殺という言葉を知っている方は多いです。占いに触れたことがあれば、どこかで目にしています。
けれど、それが命式のどこを見て決まるのか、何年ごとに巡ってくるのか、そもそも何を指しているのかを説明できる方は、ほとんどいません。
言葉と、怖いという感情だけがセットで入っている状態です。
この状態だと、対処のしようがありません。何を指しているのか分からないものに対して、人は備えることができないからです。できるのは、身構えることだけになります。
怖さのほとんどは、天中殺という言葉そのものから来ていると私は考えています。特に「殺」という一文字です。
この字が入っているだけで、何かが終わる、奪われる、傷つくというイメージが先に立ちます。その印象のまま情報を集めると、動いてはいけない、新しいことを始めるな、大きな決断はするな、という断片が次々と目に入る。気がつけば、その時期が来る前から萎縮しています。
東洋占術には、字面が怖い言葉が他にもあります。凶方位、破、害。どれも見た目だけなら不穏です。ただ、この体系は人を脅かすために作られたものではありません。気の流れ、時間の周期、陰陽のバランス。自然の動きを読むための体系です。
天中殺が指しているのは「収める時期」です
東洋占術では、運気は一定のサイクルで動きます。
拡大する時期、安定する時期、そして収める時期。天中殺は、その中の収める時期にあたります。
これまで積み上げてきたものが形になる。あるいは、積み上げてきたものの歪みや無理が表に出る。どちらも収穫です。良いものも、そうでないものも、この時期に出てきます。
悪いことが起きるのではなく、これまでの流れの結果が出るだけのことです。
だから天中殺の時期に何か問題が起きたとしたら、それはこの時期のせいではありません。それ以前に積み上がっていたものが、このタイミングで表に出ただけだと私は考えています。
逆に言えば、しっかり積み上げてきた方には、この時期が悪く出る理由がありません。天中殺だからといって、努力が無効になるわけではない。これまでの流れが、そのまま出るだけです。
どの体系を学んでも共通しているのは、ずっと拡大し続けることはできないという原則です。必ず収める時期が来ます。
備えることと、恐れることは違います
ここが、いちばん伝えたいところです。
収める時期だと知って、大きな決断を来年に回す。今期は仕込みに使うと決める。これは備えです。時期を読んで、行動を合わせています。占術を判断に使うというのは、こういうことです。
一方で、何が起きるか分からないまま身構えて、動けなくなる。予定していたことを全部やめる。何か起きるたびに天中殺のせいにする。これは恐れです。
同じ情報を受け取っても、この二つに分かれます。
分かれ目は、その言葉の中身を知っているかどうかだと私は考えています。何を指す言葉なのかが分かっていれば、備えられる。言葉だけを知っていると、恐れることしかできません。
備えは行動につながります。恐れは行動を止めます。占いを使って動けなくなっているなら、使い方が反転している可能性があります。
変えられないものを受け入れた上で、対処する
もうひとつ、押さえておきたいことがあります。
時期そのものは変えられません。天中殺を来年にずらすことも、飛ばすこともできない。これは前提です。
ただ、変えられないものを前提として受け入れることと、諦めることは違います。
私は運命を、変えられない部分と、その上で組み立てられる部分に分けて考えています。命式は選べない。巡ってくる時期も選べない。でも、その中で何をするかは選べます。この順番については、努力が報われないのは順番かもしれない|一命二運三風水の話に書きました。
天中殺も同じです。来ることは変えられない。だから、来ると分かった上で何をするかを決める。それが対処です。
今は収める時期だから、これは来年に回す。そう判断できるだけで、無駄な消耗が減ります。
知るべきは、これまで何を積み上げてきたかです
天中殺を怖がっている方に共通しているのは、この時期に何が起きるかを気にしていることです。
ただ、本当に知るべきは、自分がこれまで何を積み上げてきたかだと私は考えています。
順調に動いてきた方には、この時期に流れが実る感覚があります。無理をして動いてきた方には、その無理がひずみとして出ることがある。天中殺はその鏡です。時期そのものが何かをするのではなく、それまでの流れを映し出す。
だから私は、天中殺をどう乗り越えるかという問いよりも、今の自分の状態をどう読むかという問いを大切にしています。
問題の原因を時期に求めると、本当に見るべきものが見えなくなります。
占いで、ビクビクしなくていい
これは天中殺に限った話ではありません。
凶方位、大殺界、厄年。どれも同じ構造で使われています。言葉だけが先に届き、中身が説明されないまま、怖さだけが残る。
占いは、怖がるために使うものではないと私は考えています。自分の状態と時期を知って、それを判断の根拠にするために使うものです。この距離の取り方については、占いに頼る前に、まず自分で考える|依存させない鑑定師の線引きにも書いています。
もし今、何かの言葉に怯えて動けなくなっているなら、まずその言葉が何を指しているのかを調べてみてください。中身が分かった時点で、怖さの多くは薄れます。残るのは、備えるべきことだけです。
備えるのは大事です。過度に恐れるのは、別のことだと思っています。
EASTERN DIVINATION
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