上旬、中旬、下旬。
月の前半、真ん中、後半を指す言葉として、普段から使っていると思います。私も使います。
ただ、この「旬」が何日を指す言葉なのかを考えたことは、あまりないのではないでしょうか。
答えは十日です。しかも、なぜ十日なのかには理由があります。
旬は、十干が一巡する期間です
東洋の暦には、十干というものがあります。甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸。十種類です。
日には、この十干が順番に割り当てられていきます。甲の日、乙の日、丙の日と進んでいって、癸の日で一周する。そしてまた甲に戻ります。
この一巡する十日間を、一旬と呼びました。
だから一ヶ月は三旬です。上旬、中旬、下旬。月を三十日として、十日ずつに分けている。今も使っているこの言葉は、暦の単位がそのまま残ったものです。
十干については、なぜ十干の象意は外れないのか?構造から読み解く10のエネルギーに書きました。
昔の人は、十日の周期を持っていました
ここが面白いところだと思っています。
現代の私たちが日常で意識している時間の単位は、日、週、月、年あたりです。週は七日で、これは別の由来を持っています。
かつては、そこに十日の周期がありました。しかも、ただの十日ではありません。一日ごとに性質が違い、十日で一つの流れを作る周期です。
甲から始まって癸で終わる。この十日を、性質の移り変わりとして捉えていた。上旬・中旬・下旬という言葉を使うたびに、私たちは無意識にその名残に触れています。
サイクルには、大きさの違いがあります
十干の一巡が十日。これは小さいほうのサイクルです。
十二支が一巡すれば十二。そして十干と十二支を組み合わせると、六十で一巡します。甲子から始まって癸亥で終わる。この六十の周期が、日にも年にも使われます。
還暦が六十歳のお祝いなのは、生まれた年の干支に戻るからです。暦が還る。
大きさの違うサイクルが、同時に動いている。 東洋の暦はそういう構造をしています。
私が鑑定で見るときも、この使い分けをします。十干が何が動いているかという動きの質を示し、十二支がどの段階、どういう環境にあるかを示す。干支は、その二つが組み合わさった状態です。
十二支については、十二支は動物ではない|時のエネルギーとして読むと占いの次元が変わるに書いています。
食材の旬も、同じ構造です
旬という字を見て、まず食材を思い浮かべる方が多いと思います。旬の野菜、旬の魚。
こちらも同じ構造です。
季節という周期があり、その中でその食材の性質がいちばん出る時期がある。それを旬と呼んでいます。周期の中の、ある位置を指す言葉です。
暦の旬も、食材の旬も、周期があるからこそ成立しているという点で同じです。周期がなければ、どこがピークかも決まりません。
「旬を逃す」が成立するのは、周期があるからです
ここが、この言葉のいちばん大事なところだと思っています。
旬という言葉には、逃すという動詞がついてきます。旬を逃した、旬が過ぎた。
逃せるということは、通り過ぎるということです。 そして通り過ぎるということは、周期の中を動いているということになります。
これは、良いことがいつでも起きるわけではない、という話でもあります。ずっと同じ状態は続かない。上がっている時期があり、下がっている時期があり、それが巡っている。
逆に言えば、逃したものは、また巡ってきます。 十日後か、十二ヶ月後か、六十年後かは分かりませんが、周期である以上、同じ位置は再び来ます。
一度きりだと思うと焦りますが、周期だと思うと、少し違う見え方になります。
今が周期のどこかを知る
旬を意識するというのは、良い時期を狙うということではないと私は考えています。
自分が今、周期のどこにいるのかを知ることです。
上がっていく途中なのか、ピークなのか、下がっているところなのか。それが分かると、同じ行動でも結果の出方が変わります。上がる時期に仕込みだけしていれば機会を逃しますし、下がる時期に押し切れば摩擦が増えます。
動く時期と蓄える時期の判断については、今は動く時か、蓄える時か|易経の構造で自分の立ち位置を読むに書きました。
上旬・中旬・下旬という言葉を、少し違って見る
今日から何かをしてください、という話ではありません。
ただ、次に上旬・中旬・下旬という言葉を使うとき、それが十日の周期を指す言葉だったことを思い出してもらえたらと思います。
十日ごとに、性質が一巡している。昔の人はそれを意識しながら日を数えていた。今も同じ周期は動いていて、言葉のほうだけが残っています。
周期があると知っているだけで、今がどこかを考える習慣ができます。私は、それが旬を意識するということだと思っています。
EASTERN DIVINATION
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